就職説明会で社長が挨拶をしている最中にいきなり「君、立ちなさい」と言って一人が立たされた。「なんだ、その形と色は?」「私はそういう形と色が大嫌いなんだ」「申し訳ないが、帰ってください」「君と、君と、君も」ぞろぞろぞろ。 心が端的に表に現わさ…
「青空文庫 おすすめ」で出てきたので芥川の藪の中を読んだ。 あまりいい話ではないのでおすすめしない。 wikiがあったので読むと、短い小説なのに論文がたくさん書かれていたり「藪の中」論そのものが論じられたりしているらしい。 ネット上でもあれやこれ…
風に吹かれるといやな気分が吹っ飛ぶ。冷たくても良い。風は良い。 遠いところにある町にでかける想像をする。想像の旅。 そうすると、その旅の中、こんなにさっぱりとした平穏そうな町にもドロドロとした争いごとは起こっているのだと聞き、意外に思う。 人…
僕が今特に何も考えず日々を送っているのは誰かの望み通りであったかどうか。 僕がせいぜい考えていることと言えば、危険とか不安とかはやはり感じるだけ無駄だなということ。 例えば、過激な速度で突っ走っている自動車に二人乗っているとする。運転してい…
時間はいつも壁にはりついている…わけではない。あれは時計なのだった。あれはただ時間というものの一面をのぞかせるのぞき穴に過ぎない。僕は時間のようになりたい…と本気で思っているわけではないが、あれだけ人を心酔させておきながら、自らの気配を消し…
車輪の中で暮らしています。車輪の中から見ています。雨の日も曇りの日もここで眠ります。私のエネルギーはすべてこの車輪の回転に使われています。ここから見えている景色が何かを語りかけるわけもないです。誰かのためにというのは嘘です。私は自分が重要…
僕は給油機に表れた数字を見て、その分ガソリンを入れたつもりになる。 車の持ち主は、代金を払い、満足したつもりで帰っていく。 車自体は、燃料がいっぱいになったつもりで、それをさっそく消費しながら走り去る。働いているつもり。食べているつもり。怒…
毎日さむいです。今日は雪が降りました。生まれたばかりの彼女の人生にとって初雪のようです。しかし僕の心にまでは届きませんでした。僕の心は重ねた服の奥にあるしわしわの皮膚のさらに奥、ぐちゃぐちゃとした内蔵の奥、膵臓の陰に隠れてそのまま縮こまり…
雑誌「倫敦」を読んでいる。ロンドン、ロンドン、ロンドンコーリング。だがしかしここはロンドンではなく、南半球の何処かの田舎。小さな駅のすぐ前には河が在る。白いような薄緑いような河だ。僕の昔の記憶のように濁っている。中村雅俊は、兄として、叔父…
切ない夢を見た。真っ暗闇の夜の中、無限に広がるスタンドの敷地内で、給油機がデタラメな位置に乱立して数字を発光している。僕はそこら辺でタオルを集めて洗ったりたたんだりして黙々と働いていた。 仕事が終わり、そのまま社員と旅行することになり、山の…
朝、友人を銀行に送っていく時、道の傍らにこんな標語があった。 「万引きは 物は手に入れても 自分の心は失う」 中学三年手塚某さんの作った標語である。掲げたのは別の人だろう。 この手塚某さんは、万引きをやったことはあるのだろうか。やったことがある…
病院の一室で、健康のありがたみを叫ぶ 気球に乗った直後、降ろしてくれと叫ぶ でんでん虫を踏んでから、ごめんと叫ぶ 寿司を食べながら、寿司食いたいと叫ぶ
無印の他の人たちと同じように、自分もまた、特定のあなた等から見下げ果てられるというような、究極の挫折を味わう可能性があるということを微塵とも考慮できず、何時までも調子よく楽観したままで、余裕をこいて、馬鹿みたい、な雰囲気を纏ってしまってい…
「なぜ人は人を殺してはいけないの?」と疑問を投げかける人に対し、その人を心底納得させる答えはこの世のどこにも存在しない。頭を捻りこの上なく整然とした理屈をいくつ並べ建てたところで徒労に終わること間違いなし。そもそも当初の問いからして意味が…
友人の家に遊びに行って、どこやかし探索していたら、タンスの引き出しや戸棚やその他いろんな場所からぞろぞろと犬や猫が出てきた。その中にはとてもチッコいのが何匹かいて手の平サイズでみゃーみゃーと鳴いていた。ものすごく変わった形の猫もいて、胴体…